超細番手でも誤差のない抱合力測定

織機で織物を織る場合、経糸は張力、衝撃、屈曲、摩擦などの複雑な外力を受け、これらに耐えなければなりません。これらの外力に耐える力のない糸は糸切れとなり、糸切れが多いほど製織効率を低下させることになります。ここで紹介する抱合力試験機は、製織時の複雑な外力に最も近い力を試験糸に与え、糸がダメージを受けて切断に至るまでを経時的に記録すると共に、製織性を計数化する試験機です。

機構

試験機の外観は写真の通りです。測定する糸を試験機にセットします。糸は、摩擦盤に取り付けられている織機で受ける外力を模した11種類の形状の違う摩擦片の上で、あたかも織機上で受ける負荷のように多方向から衝撃、引張り、摩擦などの負荷がかけられます。糸が様々な外力で崩壊し、変化していく様子を電気的センターで1/500秒ごとの変化記録を数値データで測定します。切断に至るまでの糸の変化してゆく状態が試験されます。同時にCSVデータでも記録されるので、後で数値解析する時に利用出来ます。

測定方法

摩擦盤の回転速度と負荷荷重は、測定される糸番手や織機種などによって設定されます。

設定例

  • 製織速度(織機種類)
    摩擦板回転速度
  • エアージェット 650~900rpm
    90~100rpm
  • 綿番手
    荷重
  • 40/1
    70-80g

摩擦盤の回転数が、そのままその糸の抱合力として数値化されます。抱合力数値の基準は次の式によって表されます。


抱合力基準値=(インチ間の経糸本数+インチ間の緯糸本数)x要素数(3*).
例:織物組織124x80平織の場合(124+80) x3=612


*上記の要素数(3)は、弊社の経験値です。上記の公式に基づいて、抱合力数値がその基準値を上回る場合は、90%以上の製織効率が見込めます。しかしながら、織機の状態や織物組織の違いなどにより、必ずしもこの基準があてはまるとは限りません。お客様におかれましては、当抱合力試験機での測定データと、実際の製織データを蓄積して、貴社独自の基準(要素数)を策定ください。そうすると、抱合力測定結果から、製織効率を予見することができます。